ちょうどトランプのゲームに勝ち負けがあり、それが次の回でのゲームにつながるように、“競う”というゲーム性を導入することによって、発表者の発表意欲や向上心が刺激されます。
また、聴き手も『チャンプ本』を決める1票をもつことで真剣に聴きますし、そこに集っているコミュニティの参加者であるという実感をもつことができます。
「読書会」では、1冊の本を題材に、発表者はレジュメを用意して、他の人は聞いているだけになりがち。
また、その本を選ぶのも、本人の意志とは関係がない場合もあります。
「青年の主張」では、弁論大会になってしまい、そもそも話の内容が本とは関係がないうえに、おしゃべりのテクニックばかりがポイントになってしまいます。
その点「ビブリオバトル」は、それぞれが自分の好きな本、そして自分以外の誰かにもぜひ読んで欲しいと思った本を持ち寄り、原稿などを一切用意せずに、その時その場で自分の「伝えたい気持ち」を言葉にしていくものです。“I LOVE YOU”ならぬ“I LOVE 「本」”という各人の熱意が決め手です。
これは発表者のプレゼンテーション能力の優劣を競うもの、人の1位を決めるものでは決してありません。
あくまで、そこに集った参加者たちのなかで、その時、一番読みたいと思った本の1位を決めてみよう、というゲームです。良い意味で、その場限りの「気楽さ」があり、「気軽に」参加しやすい。
とはいえ、「私の話をこんなに真剣に聴いてくれたことは生まれて初めて」と感激した生徒たちの声や、紹介された本を聞いて興味が湧き、それまで見知らぬ者同士だった生徒たち同士がメールのアドレス交換をしている光景など、本を介した新たな人との出逢いや、友情の深まる様子がとても印象的でした。