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人権教育

同和教育基本方針(抄)

平成4年3月25日
滋賀県教育委員会

 同和教育の本質は、近代社会の原理である自由と平等の原則に基づき、社会の中に今なお存在する不合理な部落差別をなくすことをめざし、互いの人格を認め合い敬愛し合う人権を育成し、人権尊重の精神を貫く社会の実現を期することである。

 したがって、同和問題を解決することが民主社会を確立するうえで重要な課題であるという認識のもと、人間の尊厳を基本として、同和問題についての正しい理解と認識を培い、人権尊重の精神を日常の生活に具現する態度を育成するため、同和教育を積極的に進める必要がある。

 本県においては、今日まで同和問題の解決をめざし、県民ぐるみの取り組みを進めてきたことにより、県民の学習機会が拡充され、同和問題についての理解は深まりつつある。しかし、予断と偏見による差別事象の発生や、就学、就労、結婚などに基本的人権にかかわる問題が依然としてみられることなど、解決しなければならない課題があり、同和問題が必ずしも県民一人ひとりのものになっているとはいえない。

  国際的に人権尊重思想が普及する中で、人権意識の高揚を基盤とし、心理的差別の解消の実現に向けて努力を重ねていくことが重要であり、教育の果たす役割をふまえ、さらにその徹底を図るため、就学前教育、学校教育、社会教育などあらゆる教育の場において同和教育を推進する。

 なお、同和教育のより効果的な推進を図るため、保育所、幼稚園、および学校における教育と社会教育との緊密な連携を促進する。

1.就学前教育にあっては、乳幼児期が、人間形成の基礎を培う重要な時期であることを認 識し、保育を通し、乳幼児が発達状況に応じて、日常生活の基礎的な事項を十分身につけ ることができるよう努める。

 また、同和問題についての正しい理解と認識を形成する基礎を培うために、家庭・地域や小学校などと連携し、乳幼児に豊かな情操を養い、一人ひとりが、思いやりと協調性に富み、互いの人格を尊重しあい、いじめや差別を生まない人間関係を醸成するよう努める。

2.学校教育にあっては、小・中学校から高等学校に至る期間が、社会生活に必要な基礎的 能力を身につけ、心豊かな人間に成長するうえで重要な時期であることを踏まえ、児童生 徒が、互いの人格を認め合い励まし合う学習活動を展開し、人権意識を高め、感性をみが き、差別の不合理性ついての認識を深めることを通して同和問題解決への意欲を培い、人 権尊重の精神を生活に具現するよう努める。

 さらに、児童生徒が、より良い生活習慣を身につけ、学力を高め、自主・自立の精神と社会性を養い、生涯にわたり自己実現を図ることができるよう進路指導を充実するとともに、学校における取り組みについて、家庭や地域に理解と協力が得られるよう努める。

 また、大学や専門学校などにおける同和教育の一層の充実が図られるよう努める。

3.社会教育にあっては、自主的・自発的な学習活動を基盤とする生涯学習の観点から、県 民一人ひとりが、各種の学習機会を通して同和問題を正しく理解・認識し、自らの生き方 にかかわる重大な社会問題として受けとめ、人権尊重の精神を日常に具現することが求め られている。

 このことから、県民が社会教育活動や地域・職域における教育・啓発活動などに積極的に参加し、差別の不合理性についての理解を深め、社会連携の大切さや働くことの尊さなどについて自らの認識を見つめ直し、問題解決に主体的に取り組み、差別のない住みよい社会づくりを進めるよう努める。

 とりわけ、地域ぐるみの同和教育を一層推進するため、同和教育推進協議会等の活動をさらに活発にし、くらしと地域に根ざした自主的な取り組みが進められるよう努める。

 さらに、家庭や地域が、人間形成を図るうえで、大きな役割を果たす場であることを認識するとともに、家庭や地域住民が、相互に信頼し尊敬しあい、人権意識に支えられた明るい家庭、心の通い合う地域づくりを進めるよう努める。