「かがやきタイム ―交通バリアフリー教室―」 (甲賀市立貴生川小学校5年生)
以前から学校支援のお話をさせていただいていた滋賀運輸支局から、「交通のバリアフリー教室を、今年は学校でしたいと思うのですが…」と、ご相談がありました。
そこで、「昨年度に車椅子の体験等を授業でしています。その発展が出来そうであれば、今年度の授業も考えたいです。」とおっしゃっていた貴生川小学校にご提案をさせていただき、連携が実現しました!
これまで一般市民を対象にされてきたバリアフリー教室ですが、学校での実施は近畿で初めてとのことでした。
そのため、学校に伺い、学校と協力をいただく様々な関係者の方々と顔を合わせての打ち合わせは、3回行われました。
まずは、滋賀運輸支局の方の「今日のバリアフリー教室で、電車やバスで困っている人に自分から声をかけるきっかけになれば良いなあ、また、普段通っている道が車椅子でも安全・安心に通れるか自分で確かめてほしいと思います。」というオリエンテーションのお話から始まりました。
その後、3クラスがそれぞれ班にわかれ、時間をかえながら、3つのプログラムが行われました。
◎「バス乗降体験」…車椅子での乗降や目の不自由な方の疑似体験
当日は、甲賀市内を走っている“はーとバス(ノンステップバス)”と、ステップがドアに連動されているパワーリフト付の“グリーンバス”を学校に乗り入れていただきました。
はーとバスでは、実際にアイマスクをしながら杖を持ってバスに乗る体験をしたり、走行中は収納されているステップ板を出しての車椅子の乗降を体験しました。
車椅子の方が乗られる時は、座席は折りたたまれます。
また、グリーンバスでは、電動で重い車椅子での乗降を体験しました。
◎「環境学習」…天然ガス自動車での実験など
こちらも当日は、天然ガス自動車とディーゼルトラックを学校に乗り入れて、実験もしてくださいました。
車の排気ガスなどで地球は大ピンチ…環境の状態などをパネルや実験をしながら、お話していただきました。
実験はディーゼルトラックと天然ガス車のそれぞれの排気ガスが出る部分に、白い靴下をつけてエンジンをかけてみます。すると…ディーゼルトラックの靴下は真っ黒になり、天然ガス車の靴下は白いままでした。
あまりの違いに、子ども達もびっくり。
お話をしてくださった方の「環境問題だけではなく何でも、まず自分達がどうしようと思うかで変わってくるので、いろいろとしっかり考えてほしいです。」という言葉が印象に残りました。
◎「車椅子の利用・介助体験」…駅のエレベータの乗降や道路上での体験
こちらもまずは、用意してくださったバスで貴生川駅まで移動し、駅の下で車椅子の取り扱いや介助方法等の説明を受けました。
車椅子の開閉の時の注意や、車椅子に人を乗せる時の注意点等はとても大切です。
それらをふまえて、車椅子でのエレベータの乗降体験。エレベータではまず一般の乗降する方に気をつけながら後ろ向きに乗ります。
そして、班で交代しながら車椅子で普段通っている駅から学校までの道を帰りました。
少しの段差で進めなくなったり、券売機や自動販売機で切符などを買う時は、手が届きにくい場合があること等も実感したようです。
そして、学校に戻った後、みんなに受講証が渡されました。
子ども達にとって、普段気づかなかったことに気づけた貴重な経験だったと思います。
今日の経験を生かして、いろんな人に優しく正しく接してくださいね。
児童達の感想を聞き、バリアフリーについて見つめ直し、また、認識を深めていただいたようです。私達、バリアフリーを進めていく者にとっても有意義な1日でした。
過去、バリアフリー教室を体験された市民の方から「このような体験は、子どもの頃に体験するのが一番効果的である」という意見が多数寄せられたため、開催しました。今回の開催で、小学生に対するものが一番有効であると確認できました。今後も学校と連携し、開催していきたいと思っています。
この日体験されたことで、障害のある方が移動されることが、どんなに大変なことかを学ばれたと思います。困っている人を見かけたら、優しく接してあげてください。
皆さんが暮らしている貴生川の町を、誰にとっても安全で安心して移動できる町にしていってください。