「ふれあい活動 −西堀榮三郎に学ぶ『失敗しても、何度でもやり直せばいいんだ』/雪や氷の実験・工作−」 ( 東近江市立能登川西小学校6年生とその保護者 )
「学校支援メニュー」でいくつかの団体のメニューをご覧になっていた能登川西小学校のPTAの方から、実験など体験を含めた親子活動をしたいとご相談があり、西堀榮三郎記念探検の殿堂のメニューをご紹介しました。
西堀榮三郎記念探検の殿堂にも日程等を含め問い合わせをしたところ、快くお返事をくださり、連携が実現しました!
西堀榮三郎さんは、日本初の第一次南極地域観測隊の越冬隊長をつとめた方です。西堀さんは大変探求心旺盛な方で、科学者でもあり、技術者でもあり、探検家でもあり、教育者でもありました。そんな西堀さんの活動は、あらゆる分野で受け継がれています。
そんな探求心旺盛な西堀さんの3つの語録を教えてくださいました。
1. 若いときの夢は叶えられる!
子どもの頃の西堀さんは、体の発育は良くなかったそうです。しかし、11歳の時に南極探検家の白瀬中尉(しらせちゅうい)の話を聞いて、自分もいつか南極へ行くことを決意したそうです。夢を持ち続けた西堀さんが第一次南極地域観測隊の越冬隊長をつとめたのは、なんと54歳の時。11歳に持った夢を持ち続けて、54歳で叶えた西堀さんからの言葉です。
2. 勇気を持って挑戦を!
平均気温マイナス25度、それまで誰も住んだことがない、生活に必要な物は何もない南極で、1年間過ごすというのは並大抵のことではありません。なのに、南極基地を作るのにかかったのは、たった2週間だったそうです。自信は、結果によってついてくる…勇気を持ってまず挑戦を!
挑戦の成果がわずかであっても、それが後の大きな自信につながります。勇気を持ってやってみましょう!
3. 体験で生きた知識を!
自分で体験したことこそ、生きた知識となる…70歳になっても何千メートルという山へ挑戦したり、経験することを大切にしていた西堀さん。常に新しいもの、未知のものに興味を持ち、実行する行動力は学ぶべき力だと感じました。
さて、次はいよいよ前に置いてある箱(実験装置)の登場です。
約マイナス25度(南極の平均気温)に保たれている装置の中で「ダイヤモンドダスト」を見せてくださいました。
「ダイヤモンドダスト」とは、空気中に浮かんでいる氷の粒に、光が当たりキラキラと輝く現象のことです。ダイヤモンドダストは、ある条件下で見ることができます。装置の中でも最初は何も見えませんが、湿度が高く、マイナス25度で冷やされた時、空気を勢いよく吹き込むなどの刺激(ショック)を与えると水蒸気が一気に凍り、ダイヤモンドダストが見られました。氷の粒は1ミリメートルの1/20くらいの大きさで、顕微鏡で見ると六角形をしています。
自然界だと、湿度が高く、風がなく晴れていて、気温が氷点下10度以下の条件下で見ることができるということでした。
そして、後半は工作を2つしました。
1つ目は、ダイヤモンドダストが六角形をしているということで、折り紙で六角形の雪の結晶を折りました。細かく折っていくので、結構難しかったようです。保護者の方も、悪戦苦闘…でした。
2つ目は、熱帯アジアの「アルソミトラ」という植物の種子(ハングライダーの元になったと言われる非常に軽くて薄い羽根を持った種子)を工作しました。
この植物は、高いところに実をつけます。その実から出た種子が、風に乗って遠くに飛んでいきます。
工作ではお友達同士で、また保護者の方も一緒に、作った模型の紙飛行機を何回も飛ばしました。よく飛ぶ羽根の形など教えてもらいながら、その種子が飛ぶ仕組みを知ることができました。
学校では、この1週間前の道徳の授業で、「夢を叶えるために、自分はどんな努力をすればよいか、しているか」という授業をされたそうです。
「決して失敗を恐れてはいけない。失敗しても、何度でもやり直せばいいんだ」が信条だった西堀さん。西堀さんの生き方も、1つの参考にして、将来の夢に向かって1歩を踏み出してくださいね。
西堀榮三郎さんの生き方が、子どもたちの心にズシンときていました。ちょうど、道徳で「夢を叶えるために、自分はどんな努力をすればよいか、しているか」などの勉強をし、社会科で太平洋戦争の学習をしている最中だったので、“生きる” “夢”について、グッドタイミングな授業でした。6年生ならではの学習をして、ありがたかったです。ありがとうございました。
“科学離れ”と言われる今の子どもたちに、もっと自然の神秘を知らせたくなりました。
今回は6年生の最終学年としての活動でした。
早く知っていれば、もっといろいろな企画が考えられたかもしれませんが、このような出前授業をしていただけることがわかり、来年の参考にもなると思います。
ありがとうございました。
ご担当の保護者の方が、当館へお越しくださり、実際体験されるなど、十分な打合せをすることができました。
参加者の中には「館」を知っていても、工作・実験などを体験できることは知らない方がいることがわかりました。これを機会に、博物館の利用の仕方を検討いただき、当方でも宣伝告知やプログラムの開発を進めていけたら、と思います。
「まぁ、いっぺんやってみなはれ」榮三郎さんの言葉です。初めてのことは、少し勇気が必要です。でも、「えいやっ」でやってみないとわからないこともあります。
たくさん経験を重ねて自分のものにし、「生きた知識」を身につけてください。