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「地域の力を学校へ」推進事業の実践例 彦根市立東中学校3年生 × 滋賀県社会福祉協議会福祉用具センター 「高齢者擬似体験」

掲載日:2010年2月25日

教科等 : 総合的な学習の時間 ‥

「 高齢者擬似体験 」  ( 彦根市立東中学校3年生 )

講師 : 滋賀県社会福祉協議会福祉用具センター  ( 平成22年1月20、22、27、29日 )

 生涯学習課主催の学校と地域を結ぶコーディネート担当者新任研修において、「しが学校支援センター」で行っている様々な学校支援をご紹介しています。
 その中の「学校支援メニュー」一覧をご覧になった彦根市立東中学校の先生から、「うちは8クラスで、一度に体験学習がなかなかできないのですが、滋賀県社会福祉協議会福祉用具センターさんの高齢者疑似体験をしていただけたら、とても嬉しいです。」と、ご相談がありました。
 滋賀県社会福祉協議会福祉用具センターに日程を含め問い合わせをしたところ、「8クラスでしたことがないのですが、私たちも前回やった中学校を参考に、先生とご相談しながらやってみます。」と言ってくださり、連携が実現しました!


授業 :

 次の目的で、授業は進められました。

  • 高齢者疑似体験を通して、年をとったらどんなことが不自由になるかを実感させ、高齢者の思いに寄り添い、支え合って生きていく態度を養う。

 滋賀県社会福祉協議会福祉用具センターは、筋力等おとろえてくる高齢者の方が、普段の生活の中で、福祉用具を使われる際、相談を受けたりするところです。
 高齢になると、どこが弱ってくるのでしょうか?
 手や足、目、耳など、あらゆるところが弱ってきます。
 今回は、「高齢者疑似体験」で体に7種類の器具をつけて、実際に高齢者疑似体験をしました。クラス数などにより、4日間の日程で授業は行われました。

インスタント・シニア体験学習

  • インスタント・シニアとは
     高齢者疑似体験プログラムのことで、歳を経なければ経験することのできない、自分たちの将来の世界を垣間見る機会を提供する。7つの器具を身につけ、運動・感覚機能を低下させ、参加者が高齢者に一時的に変身することからスタートする。高齢者の視点に立って社会を観察することにより、私たちを取り巻く社会環境の問題点を発見し、そのための対策や改善の一助にしようというもの。
  • インスタント・シニア体験で使用する8種類(ゼッケン含む)の器具
  1. 耳栓…耳栓を装着することで聴覚の変化を体験します。
  2. 白内障用ゴーグル…視覚の変化・老人性白内障を体験するゴーグルです。
  3. 両腕関節サポーター…両腕の関節にサポーターを装着することで関節が曲がりにくくなり、背中に手を回すなどの動作も不自由になります。
  4. 利き手首おもり…利き腕の手首におもりを装着することで、筋力の低下によって手を挙げるのが大変になってくることを体験します。
  5. ゴム手袋…薄いゴム手袋を2枚ずつ着け、両手の指を2本ずつテープでしばって、触覚の低下や指先が不器用になった状態を体験します。
  6. 膝サポーター…ひざにサポーターを装着して、関節が曲がりにくくなった状態を体験します。
  7. 左右違ったおもり…足首に左右違ったおもりを装着し、平衡感覚の変化を体験します
  8. つえ…体をあずける便利なつえも、置き場所がないと倒してしまい、拾うのは大変です。
  9. ゼッケン…体験中であるということをまわりの人に知らせ、体験者の安全を確保します。
    (日本ウエルエイジング協会資料から)

 それらの器具を装着し、学校内のコースをチャレンジリストに従いながら、体験しました。

チャレンジリスト

  • 字を書く…(スムーズに書けたか)
  • 廊下を歩く…(暗くないか、段差はないか)
  • トイレを使う…(しゃがんだり立ったりできるか、暗くないか、ボタンなどは使いやすいか)
  • 段差やスロープを通る…(手すりは使いやすいか、段の先はわかりやすいか)
  • 掲示板のポスターやチラシをみる…(掲示板はよく見えたか)
  • 下駄箱で立ったり座ったりする…(靴を出し入れができたか、靴は簡単にはけたか、外に出てみる)

 生徒からは「掲示板の文字が見にくかったし、段差は全然見えなかった。」「外の明るいところは、視界が白くなって見えなくて怖かった」など、体験することで高齢者の方の大変な思いが実感出来たようでした。

 「世の中には、いろんな方がいろんな立場で、毎日を過ごされています。高齢になると見えにくい(見えない)などのことで危険もあり、外出するのがおっくうになって、老化がさらに進んでいくこともあります。なので、そういう時にサポートしてあげられるといいなと思います。
 体験はとても大事だと思います。高齢者の方がいろいろな場面で、モタモタしていると感じることがあるかもしれませんが、今日の体験で体の不自由さを感じてもらって、“少し待ってあげる思いやり”や“ちょっとした気遣い”をしてくれる方が1人でも多く増えてほしいと思っています。若い皆さんには、自分たちで何か出来ることを考えてほしいし、いろんな人が助け合って生きているということを感じてくださいね。」と講師の方からメッセージがありました。

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