
掲載日:2010年2月15日
教科等 : 国語(書写) ‥
「 筆を使って、伸び伸びと楽しんで活動する 」 ( 県立野洲養護学校中学部 )
講師 : 書道愛好家 ( 平成22年1月22日 )
生涯学習課主催の学校と地域を結ぶコーディネート担当者新任研修において、「しが学校支援センター」で行っている様々な学校支援をご紹介しています。
研修を受けておられた県立野洲養護学校の先生が、他の先生にも問いかけてくださったところ、「書道を楽しく教えてくださる人がいたらいいなあ」との声が、中学部の先生からあがったそうです。
中学部の先生からは、昨年度に書道(毛筆)を学習したところ、子どもたちの反応もよく、楽しい授業ができたとのことで、今年も計画をされていました。しかし、自分が専門家でないため、アイデアと指導力に悩んでいるとのことでした。
きれいな文字だけでなく、絵や象形文字など型にはまらない、自由な発想で創作活動ができる講師を探しておられ、あたたかく指導をしてくださる方がおられたら…ということで、書道の先生を探していたところ、学校の近くにお住まいの方がおられました。日程等を含めご相談したところ、「私でよければ、授業を一緒にさせていただきたいです。」と言ってくださり、連携が実現しました!
打ち合わせ :
講師の方は、事前に生徒の様子を知りたいということで、授業を参観されました。その後、先生方がどのような学習活動を計画、また希望されているか、生徒の様子等を確認しました。
授業 :
学習内容を、ご紹介します。
- 太細、濃淡、かすれ、にじみなど、いろいろな線を筆で書けることを学び、半紙に書いてみる。
→まず、講師の方が実際に、半紙に毛筆で名前を書いて、自己紹介をされました。その後、生徒たちも同じように名前を実際に書いて、自己紹介をしました。用意された薄い墨、濃い墨は好きな方で書き、みんな勢いよく書いていました。
- 象形文字を見て、何の漢字かを考えながら、漢字の成り立ちを知る(山、川、母など)。そして、「とら」の象形文字を知る。
- 「とら」の様々な文字が書かれた半紙を見て、いろいろな表現方法があることを知る。
→書いてきてくださった象形文字の見本を見て、何の文字か考えました。今年は寅年ということで、今日は、いろいろな「寅」「虎」「象形文字のとら」…を書くのがテーマです。見本を見て、イメージをふくらませていきました。
筆の先を使ったり、筆がわれてもいいし、薄い墨で書いても濃い墨で書いてもいいし、「とら」が暴れてて最後の文字の“はらい”や“はね“を大胆に書いてもいいし、「とら」のしっぽのように書いてもいいし…と、ポイントを教えていただきました。
- 自分の好きな「とら」の字を書く。(紙、筆など時間があれば、いろいろ変えてみる)
→まずは、半紙に書きます。
「太い筆を根本までたっぷり墨をつけて、半紙の白い部分がなくなるくらいに書いてみましょう。墨がポタポタと落ちるのはいいですが、2度書きはしないでくださいね。半紙は横にして書いてみるのもいいですね。」など、アドバイスをいただきました。実際に、半紙に大きく書くと、にじんだり、かすれたりします。
次は、ツルツルの紙にかいてみました。半紙とは、かなり違う感じだったようです。
今回は、講師の方が、いろいろな大きさや形の半紙を用意してくださり、大きな半紙をさらにつなげたり、筆を2本まとめて持って書いたお友達もいました。
その後、お友達が一番気に入った作品を一人ずつ発表してくれました。その1枚1枚に、講師の方から「うまく空間を使って、書きましたね。」「筆がわれても、毛先をうまく使って書きましたね。」「にじんでも、おもしろいですね。」など、コメントをいただきました。
- 色紙に「とら」の字を書いて、作品として残す。
→「最後は、色紙に書いておみやげにしましょう!」と、講師の方から提案がありました。
これまでのアドバイスを思い出しながら、みんな思い思いに書き、その作品は、教室の前に飾られました。
講師の方からは、「お家でも、毛筆で好きな歌を書いたり、筆でなくて割り箸の先で書いたり、ロープで書いたり、毛糸や綿棒で書いたり、楽しんで書いてくださいね。」と、メッセージをいただきました。
生徒からは、「首飾り」のサプライズのプレゼントがあり、講師の方がとても喜んでおられたのも、とても印象的でした。
生徒の感想より
- 勢いよくかけました。
- 墨の変化や、濃さの層ができて、おもしろかったです。
- 気に入った作品が、1枚に選べないくらいどれも気に入りました。
- 大きい半紙に「虎」とかいたのが、楽しかったです。こんな大きな字を書いたのは初めてでした。
- 1枚ではおさまりきれず、半紙を足していきました。
- 「とら」を書くのが楽しかったです。
- 普段、使わないツルツルの紙に書いたのがおもしろかったです。
- 絵の虎と大きな紙にかいた虎が、上手に書けてとっても良かったです。
- もうちょっとやってほしかったです。虎の象形文字とかあったから、おもしろかったです。
- むずかしい漢字もあったし、わかった漢字もありました。
- また、書きたいです。もっと太い筆はあるんですか?
- 私は、習字をならっていたので、とてもきれいに書けていたと思います。またしたいです。
- 今まで、書道をすることがなかったから、こういう勉強があるのはおもしろいなと思いました。

県立野洲養護学校の先生より
講師の方には、筆・墨・お手本・紙など様々な種類のものを準備していただき、学習内容についても専門的にご指導いただきました。自分たちだけでは、思いつかないことをたくさん出していただき、子どもたちも自由に楽しんで活動することができました。
子どもたちのすべてを受けとめ、すべてをほめていただいたので、子どもたちも喜んで、自信をもって取り組めました。
授業をしてくださった書道愛好家の方より
事前に学校訪問をして、生徒たちの様子を参観したとはいえ、生徒たちが興味を持って意欲的に授業にのってきてくれるか心配でした。
墨の濃淡、潤滑、筆の太・細の性質、紙の大きさによって、いろいろな表現活動ができ、「書くことは楽しいな」と実感し、また「書いてみたい」という意欲を抱いてくれていたら…との思いです。
−生徒たちへメッセージ
−
いろいろ工夫して、楽しんで、力いっぱい大きな紙に挑戦し作品づくりをしてくれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。
最後に、心のこもった“メダル”を首にかけてもらって、嬉しかったです。私の“宝物”として大切にし、みんなのことを思い出します。