
掲載日:2010年3月16日
教科等 : 総合的な学習の時間 ‥
「 生き方学習:仕事人と語ろう! 」 ( 彦根市立南中学校1年生 )
講師 : おうみ未来塾 「仕事人と語ろう!」 グループに所属の方 ( 平成22年1月28日 )
「学校支援メニュー」では、さまざまな学校支援のプログラムをご紹介しています。今回学校から、地域の中でいろいろな職業で活躍されている方を招いて、職業講座の授業をしたいとのご依頼があり、おうみ未来塾「仕事人と語ろう!」グループを紹介したところ、「是非に」ということで、連携授業が実現しました。
授業 :
「しが学校支援センター」でコーディネートした、おうみ未来塾「仕事人と語ろう!」グループに所属する8名の講師の方が講話された内容をまとめて、ご紹介いたします。
看護師の講話
授業:
講師の方は、ガールスカウトの活動がきっかけで、小学校の時から看護師になるのが夢だったそうです。
この夢を実現するまでに、様々な苦労や挫折しそうになったこともあったけれど、家族の支えと仲間の人々からの励ましを受け、看護師になることができたとおっしゃっていました。
看護師になった後も、辛いことや不安なことがたくさんあったけど、患者さんからの「ありがとう!」の一言が自信へとつながり、看護師になって本当によかったと実感したそうです。
この仕事を通して、自分を大きく成長させてもらえたと、お話してくださいました。

講師の方より
講話をさせていただいて、今までの人生を振り返り、初心に戻る事ができたと感謝しています。
これから社会に飛び込まれる子どもたちに夢を持ち、それを実現するため、たくましく生き抜く力を、学校生活の中で育んでほしいと思います。
―生徒たちへのメッセージ―
夢を追い続けるためには、辛いことや苦労など多くの壁があります。夢の実現に向けて、そのプロセスに多くの学びがあり、自らの成長につながっていくんだなと思います。皆さんには、目の前に与えられた課題に真正面から取り組んでもらいたいです。 |
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パティシエの講話<1>
授業:
講師の方に、なぜパティシエになろうと思ったかについてのお話の後、パティシエになってからの仕事の大変さや、特にクリスマスの時期の忙しさの様子など、分かりやすく説明していただきました。
パティシエは、1日10時間勤務で、ほとんど立ちっぱなしの重労働で、冬場はさらに2〜3時間長く働くこともあるそうです。
でも、大変なことだけではなくて、誕生日やウェディングケーキで祝う喜びと、皆さんがケーキを食べて美味しいといって、笑顔を見せてくださる喜びがあるそうです。
好きな仕事なら、しんどくても続けられるとおっしゃっていました。
次に、ケーキづくりの道具を見せていただき、使い方の実演をしていただきました。
最後に、この仕事に対する誇りと、やりがいなどについて、具体的な体験談をお話ししてくださいました。

講師の方より
50分という講話の時間は、意外と短かかったですが皆さんが最後まで真剣に聞いてくれて、授業が進めやすかったです。
―生徒たちへのメッセージ―
今日は、真剣に話を聞いていただき、ありがとうございました。
今回の授業を参考にして、自分の希望する進路に向かって頑張ってください。 |
パティシエの講話<2>
授業:
講師の方は、パティシエになるための専門学校は受験しなかったが、食に関わる仕事がしたかったことから、ケーキ屋さんに入社されたそうです。
ケーキ屋さんでの主な仕事やケーキの製造について、1日の流れなど、分かりやすく説明していただきました。
次に、ケーキに生クリームを絞る体験を、生徒の皆さんにチャレンジしてもらいました。
最後に、仕事は大変なこともあるけれど、それ以上に楽しいと思えることあること、やりたいと思ったことは、自分が動いて何でもチャレンジできることをお話くださいました。

講師の方より
生徒の皆さんの前でお話しする機会は、ほとんどないので、とても緊張しましたが、教室の担当の先生が助けてくださったので、話しやすかったです。
こちらからの呼びかけにも反応していただき、話を聞いてもらえているなと実感しました。
パティシエの仕事について、少しでも理解していただけたらうれしいです。
―生徒たちへのメッセージ―
私のつたない話を最後まで聞いてくださって、ありがとうございました。 |
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産業ロボット製作会社の方からの講話
授業:
今回、本物の3種類の産業ロボット(<1>直交ロボット、 <2>水平多間接ロボット、<3>垂直多間接ロボット)を展示し、簡単な動作説明など分かりやすく教えていただきました。
これらのロボットは、メーカーが標準品として製作しておりますが、講師の方の会社は、上記のロボットを利用して、物をつかむアームや前後の機械を製作して、さまざまな用途の産業用ロボットシステムを造る会社です。
そのために、各部門で協力して、世界に1台しかないユーザーの要望通りの装置を製作して、社会に貢献しているそうです。
次に、実際にロボットが生産工場の現場で活躍している様子を動画で見せていただき、産業用ロボットの技術について学ぶことができました。
最後に、ロボット技術者になるために必要なこととして、3つのポイントを学びました。
<1>元気があること(身体が弱かったら何もできない)
<2>根気があること(すぐあきらめる人はだめ)
<3>学校で基礎をしっかり勉強すること
(機械・電気・コンピュータなど)

講師の方より
少しむずかしい産業ロボットの講話でしたが、最後まで 生徒さんの真剣な授業態度が良かったです。
―生徒たちへのメッセージ―
1)目標を決めて、志を立てること
2)忍耐強く、途中であきらめないこと
3)素直な気持ちで、謙虚に学び続けること
以上の3点を心がけていれば、何でも成し遂げられます。頑張って勉強してください。 |
料理研究家(栄養士)の講話
授業:
講師の方は、以前学校で数学や算数の先生をされていましたが、身体をこわしてしまい、健康のために食事が大事であることに気づいて、料理研究家に転職されたそうです。
料理研究家の仕事は、新しいメニューを作ったり、 料理教室の先生や雑誌・本の執筆、テレビ番組への出演などされているそうです。
さて、料理研究家には、どうしたらなれるか?については、料理研究家という資格は、特にないので、自分で名乗ればなれるそうです。
料理の研究をするというよりは、自分の専門分野を持つことが、その人の強みとなるので、雑学を含めて幅広く、いろいろなことを学び、知識を身につけることが大切であることをお話ししてくださいました。
料理も時代や味の変化、栄養の考え方の変化に対応する必要があり、情報やアイデアの収集は、自分一人では限界もあるので、いろんな人たちと交流しているそうです。
次に、大根の食べ比べの実演を行い 「葉に近い部分」、「真ん中」、「根に近い部分」を生徒に試食していもらいました。
最後に、料理や食に関係する仕事につこうとする人は、「食べものは、残さず食べましょう!」を必ず実行してくださいとアピールされました。
その理由として、日本は食料の輸入大国で、しかも捨てる量も多いですが、世界では、6秒に1人が餓死している悲惨な事態にあることもお話しいただきました。

講師の方より
普段は大人を相手に話をしているので、大人では当たり前の言葉ももう少し簡単な、分かりやすい言葉におきかえて、話さなければいけないと思いました。
―生徒たちへのメッセージ―
今回は、大根の食べ比べを実演しましたが、1本の大根でも食べる場所が違うと味や食感が違います。
他にもいろいろな大根を見てもらいました。同じ種類の大根でも1本1本味が違います。何でもそうですが、「こうだ!」と決めつけないで、自分の目で、舌で確かめて欲しいと思います。
料理されたものだけを食べるのではなく、食材そのものの味も知ってください。 |
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パタンナーの講話
授業:
講師の方は、神戸にある子ども服メーカーのパタンナーを退職され、現在は手作りの自宅ショップの事業主として独立されたそうです。
衣料品業界で働くパタンナーとは、どんなお仕事をされているのか、その仕事の流れを順序立てて、分かりやすく説明していただきました。
1)企画会議:流行の形や素材等について話し合う
2)デザイナーが描いたデザインで実際に服を製作する
3)販売する商品の価格を決定する
4)展示会を開催して全国からバイヤーを迎える
(バイヤーとは、買い手のこと)
5)生産会議:どの服を何枚作るか決める
6)グレイティング:型紙サイズの展開(S・M・Lなど)
7)仕様書の作成(糸の色番、縫い方の注意事項)
8)縫製工場を選定し、型紙と仕様書、生地を渡す
9)次の展示会にむかって同じ事を繰り返す(年3回)
10)商品検査:完成品が出荷OKかどうか全数検査
11)その他:市場調査や他社製品の研究を行う
最後に、補足説明Q&Aを配布してもらいました。
その中に、パタンナーの仕事をして一番うれしかったことについて、「結婚退職するとき仲間と北海道の北端=
日本の端っこで、自分が担当した子ども服を着た子に出会ったことです。この作品は、なかなかデザイナーからOKがもらえなくて、何度もやり直しを重ねたとても苦労した作品でした」と答えておられました。

講師の方より
中学校で、パタンナーの出前授業をするのは、初めてでしたが、私自身も大変良い経験をすることがきました。生徒さんには、最後まで真剣に話を聞いていただいて、ありがとうございました。
―生徒たちへのメッセージ―
今後も、パタンナーの仕事を志す子どもたちの応援を微力ながらさせていただければと思っています。 |
消防士の講話
授業:
最初に、消防士の方から災害現場の様子を中心に動画で分かりやすく解説していただきました。
実際に発生した災害現場の怖さと消防士の方々が人命救助のために大変なお仕事をされている事を学習しました。
きびしい災害現場での消防業務を行っていく中で感じた「よろこび」や「やりがい」、また「苦労した事」、「つらかった事」などについて、現場体験を通したお話をしてくださいました。
次に、消防士の職務内容や勤務体制についてのお話の後、災害現場で使用する救助用機材を見せていただきました。
最後に、みなさんがこれから進路を考える上で、ぜひ心に留めておいてほしい事として…
1)目標を持つことの大切さ
2)時間には限りがある事
を教えてくださいました。

講師の方より
今回の授業は、事前に自分の希望する職種を選び、その職業の人の話を聞くというスタイルで実施されたので、生徒たちは目を輝かせて、消防士の話を聞いてくれました。
こちらの思いがどれだけ伝わったか分かりませんが、地域の人材を育てる意味で、非常に有意義だったと思います。
―生徒たちへのメッセージ―
これからの人生、失敗を恐れず、常に目標を持って前に進んでください。一生懸命やった失敗なら、必ず何か得るものがあるはずです。
どんな失敗をしてもやり直せます。でも、時間には限りがあります。何もしなかった失敗だけは、取り返せません。やるなら今です!! |
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保育士の講話
授業:
保育士になったきっかけは、小さい頃から憧れだった職業であり、子どもが大好きだったことで選択されたそうです。
自分の希望がかなって、実際に保育園で働き、小さな子どもたちに接してみると、ただ「好き」というだけでは、できない仕事だと実感したそうです。
保育士は、子どもと過ごす時間が長く、良くも悪くも子どもたちに大きな影響を与える、重要な役割を担う仕事なので、つらい事があってもそれを乗り越えて行く勇気が必要です。
この仕事は、子どもたちから「うれしい事」をいっぱいもらえる、とてもやりがいがあり、素敵な職業である事を教えていただきました。

講師の方より
中学1年生が対象ということで、どのような内容で話せばいいか、いろいろと悩みましたが、静かに集中して聞いてくれて、授業が進めやすかったです。
今回の授業が生徒さんにとって、将来のことを考えるきっかけのひとつになってくれたらうれしいです。
―生徒たちへのメッセージ―
保育士は、人に喜ばれ、やりがいもありますが、時には辛いこともあります。それ以上に、うれしいことを子どもたちからいっぱいもらえる素敵な仕事です。
皆さんの中の誰かと、将来同じ保育士として一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。 |
生徒の感想より
- 看護師は、大変な仕事だけれど、今日のお話を聞いて、私も看護師になりたいという気持になりました。
- 看護師の方と保育士の方の話は、とても分かりやすかったです。まだ将来の夢とかないけれど、2つの授業を聞いて、看護師か保育士になりたいと思いました。
- 私は、看護師になりたかったので、今回の授業を楽しみにしていました。実際にどんな仕事をしているのか写真で説明してもらって、とても参考になりました。
- 看護師さんや介護福祉士さんは、人にやさしく接する仕事なので、僕もお年寄りや障害のある方にもっとやさしくできるよう努力したいと思います。
2年生になると、職業体験の学習があるので、ぜひ参加したいと思います。
- ケーキづくりは、かなり力を使うことを知りました。パティシエの仕事は、けっこう重労働なんだと思いました。
- クリスマスの時期には、ケーキを1日に400個も作ると聞いてビックリしました。
- パティシエは、お店で仕事をおぼえてから、テクニックを磨いていることが分かりました。どの仕事でも一人前になるまで、いろいろな修行を積んでいくことも理解できました。
- パティシエの仕事に興味を持ちました。実際に生クリームをしぼることに挑戦して、私もあんなケーキを作りたいと思いました。
- 産業用ロボットの授業は、映像で説明いただき分かりやすかったです。本物のロボットの動きを間近で見て、すごいと思いました。
- ロボットが、ちびまる子ちゃんの絵を書いた実演を見て、その細かい動きがすごいと思いました。
- 産業ロボットと消防士の授業は、講師の方から心に残るエピソードを語っていただき、感動しました。
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- 料理研究家の方の授業は、青首大根を生で食べさせてもらい、大根の本当の味を知ることができました。
- 料理学習で、大根の種類がたくさんあり、いろんな部分によって、甘かったり辛かったり、味が全く違うことを学びました。
- 料理研究家になったきっかけは、自分が身体の具合が悪くて、食に興味を持つようになったと、おっしゃっていました。僕も私生活の中で、何かきっかけをつかんで夢を実現したいと思います。
- パタンナーの仕事は、デザイナーの方やいろんな人と打合せ会議を行ったり、展示会を開催したり、洋服を完成させるまで、いろいろと関わっている事が分かりました。
- パタンナーは、苦労して作った洋服が商店街に飾られているのを見るのが喜びなんだなあと思いました。
- 消防士の道具の実物を手に持って、かなり重量がある事が分かりました。あんなに重い道具を持って、現場にかけつけるのは、すごい仕事だと思いました。
- 消防士の仕事は、危険と隣り合わせで、自分も助けながら相手を助けるというお話は理解できました。
- 消防士が災害現場で救助活動しても命を助けられない事も多いと聞いて、ちょっと悲しくなりました。
- 消防士の授業で一番印象に残っているのは、阪神淡路大震災を再現したVTRでした。また、あのような震災が起きたらすごくこわいです。
- 今日の授業では、どんな職業につくにしても、毎日努力することが大切で、仕事には辛いことも多いけれど、楽しいことや生きがいもあることを学びました。
- 将来、仕事につくにあたって、実際に体験されたこと
を分かりやすい内容で話していただき、たくさんの知 識を学べてよかったです。進路学習の参考にします。
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南中学校の先生方の
連携授業に対する感想
- パワーポイントを使って、仕事の流れを説明していただき、大変わかりやすい内容でよかったと思います。
- 講師の方は、道具の準備やら、お話しの組み立てなど、お忙しい中を工夫してくださって、生徒は興味深く聞くことができました。また、体験などさせてくださったのも良かったと思います。
- 実際に仕事をされている方からいろいろなお話を聞けるので、生徒は意欲的に授業に参加できました。
また、外部の方と接することにより、マナー等も改めて考えさせることができました。
- 普段の授業では聞けない学習を専門の方にお話していただいて、充実した時間を持つことができました。
中学生を対象した講話は、慣れておられないとのことでしたが、熱心にお話していただきました。実際にいろん材料を使った実演は、とても分かりやすかったと思います。
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- 普段見ることができない、映像や写真を見せていただき、中学生にとって大切な気持ちや現実のきびしさについて、分かりやすく、お話していただきました。
どのような仕事につくにしても、気持ちが一番大切である事など、やる気を起こさせるような内容を学習する事ができました。
- 現場でのお話は、とても説得力があり、良い授業になりました。
実演は、生徒も楽しんで参加していました。
- 多くの職種の講師を学校単位で探すのは大変な労力がいりますが、今回の「仕事人と語ろう!」グループの出前授業は大変ありがたかったです。
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