「 心を伝え合おう−聞こえないってどんなこと− 」 ( 彦根市立佐和山小学校3年生 )
「しが学校支援センター」では、さまざまな学校支援について、授業のプログラムなどをご紹介しています。「しが学校支援センター」のことをご存じだった彦根市立佐和山小学校の先生から「福祉教育をする中で、手話でお話をしてくださる方を探しています。おられたら教えてほしいです。」とご相談がありました。
彦根市社会福祉協議会にご相談をしたところ、「そのようなご相談がたくさんあり、すでに彦根市内の多くの学校に彦根の手話サークルの方に行っていただいています。人数の調整などして伺います。」と言ってくださり、連携が実現しました!
彦根手話サークル「指音」は、聴覚障害のある方も、健聴者も、共に学び、一緒に活動するサークルです。
前半は学年合同の授業で、まず来ていただいた聴覚障害の方(3人)と、手話と言葉で伝えてくださる通訳の方(3人)の自己紹介から始まりました。
事前に学校では、聴覚障害の方の暮らしの様子などが映ったビデオを見ているということで、気づいたことを発表してもらいました。
「玄関のチャイムの代わりにランプが光っていた」、「車が後ろからプップーと鳴らしても気づいていなかった」、「お店の人に紙に書いて伝えていた」…などの発表の後、聴覚障害の方に、実際のお家での様子などをお話していただきました。
など。
困ることは、話していることがわからないのが一番で、そんな時は筆談(書いて伝え合う)をしたりするそうです。
そこで、聞こえない人が話をする方法を教えてくださいました。
聞こえない人が話をする方法
ここで、「簡単な手話を覚えよう!」と、挨拶の手話を教えてくださいました。(おはよう、こんにちは、こんばんは、すみません、ありがとう、など。)
後半は、各クラスに分かれての授業です。通訳の方から出されたお題を、身ぶりで聴覚障害の方に伝えます。
お題を見て「どうやって伝えよう…」と考えこんでいるお友だちもいましたが、楽しみながら、とてもわかりやすい身ぶりで伝えてくれました。(例:ボーリング、カニ、バナナ、目薬、ゴリラ、など。)
その後は、「質問タイム」です。いくつかご紹介します。
Q: 手話を覚えるのに、大変だったことは何ですか?
A: 私は、小さい頃に聞こえなくなりました。そのため、皆さんが言葉を覚えるのと同じように手話を覚えました。また、聾話学校で、先輩の手話を見ながら覚えました。
Q: 音楽や歌を聞く時は、どうしていますか?
A:音の高い・低い、きれいな声…などはわかりません。音楽や歌は聞かないですが、手話劇などを楽しんだりします。
Q: 地震の時とかは、どうしますか?
A:地震や火事の時、私たちには全然わからず、アナウンスなども聞こえないので、とても不安です。だから、サークルでは、聞こえる人も聞こえない人も一緒に、防災訓練などを行っています。皆さんのご協力が必要ですので、どうぞよろしくお願いします。
など。
「私たちは、見ただけでは聞こえないかどうかがわかりません。例えば皆さんが、何か知らせようと思って後ろから話しかけても反応がない場合などは、肩などをトントンと軽く叩いて顔を見合わせて知らせてもらうとありがたいです。また、車や自転車などで危ない場合は、体ごと引っ張ってもらう方がいいこともあります。皆さんのご協力を、どうぞよろしくお願いします。
手話は知らないと伝えられないと思われるかもしれませんが、手話がわからなくても『伝えたい!』という気持ちがあれば、伝わります。その気持ちがとても大事ですので、メモに書いたり、身ぶりでお話したりしたいです。
今日は、皆さんと一緒にすごく楽しくふれ合いができました。これから、耳の聞こえない人と会うかもしれません。伝えたいという気持ちが一番大切で、できれば顔の表情をつけてお話してくださいね。」
とメッセージがありました。
私共の希望により、連絡・紹介等、お世話になりまして、ありがとうございました。
聴覚障害の方と、じかにふれ合うことができ、子どもたちにとって大変有意義な体験であったと思います。外見からはわかりにくい障害であることも理解できたように思いますし、手話を知らなくても伝えたい気持ちがあれば、伝えられるということも身をもって実感できたと思います。
今後も「みんながつながれる社会」を目指して、指導を進めていきたいと思います。
ありがとうございました。
子どもたちがいきいきとした表情で、積極的に取り組んでくれていた姿が印象的でした。子どもたちの気づき、創意・工夫には、いつも感心させられます。
子どもたちに聞こえないこと、聞こえない人について正しく理解してもらえるように、聞こえない人との直接の交流を大切にしています。私たちも子どもたちとの交流を、楽しみにしています。
手話はできなくても、気持ちを伝えることはできます。将来、どこかで聞こえない人と出会った時に、今回の体験を思い出して、積極的に行動してくれることを願っています。