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「地域の力を学校へ」推進事業 平成22年度 学校支援の実践例

掲載日:2011年2月10日
連携授業のようす

テーマ

「いい生き方 福祉体験学習」

学校・園名

彦根市立東中学校3年生

講師

滋賀県社会福祉協議会福祉用具センター

日付

平成23年1月25、26日

教科等

総合的な学習の時間

授業

連携授業のようす

 人は誰でも高齢になると、手や足(筋力)、目、耳など、あらゆる機能が衰えてきます。県社会福祉協議会福祉用具センターは、筋力等おとろえてくる高齢者の方が、福祉用具を使われる際、相談を受けたりサポートするところです。
 今回は、生徒たちが体に8種類の器具をつけて、学校内のコースをチャレンジリストに従いながら、実際に高齢者体験(インスタントシニア体験)をしました。

 インスタント・シニアとは、高齢者疑似体験プログラムのことで、自分たちの将来の世界を垣間見る機会を提供するものです。高齢者の視点に立って社会を観察することで、私たちを取り巻く社会環境の問題点を発見し、そのための対策や改善の一助にしようという目的があります。

使用する器具(8種類+ゼッケン)
1.耳栓…聴覚の変化を体験
2.ゴーグル…視覚の変化・老人性白内障を体験
3.4.5.両腕関節サポーター、利き手首おもり、膝サポーター…体の自由がきかない体験
6.ゴム手袋(2枚着ける)…さらに両手の指を2本ずつテープでしばり、触覚の低下や指先が不器用になった状態を体験
7.左右違ったおもり(足首)…平衡感覚の変化を体験
8.つえ
9.体験中であるということを知らせるゼッケン
(日本ウエルエイジング協会資料から)

チャレンジリスト
字を書く 段差はないかなど廊下を歩く 下駄箱で靴をはいたり、外に出てみる 手すりは使いやすいかなど段差やスロープを通る しゃがんだり立ったりできるかなどトイレを使う 掲示板のポスターやチラシはよく見えたか などを体験する。

 生徒たちは、感想にもあるように、体験することで高齢者の方の大変な思いが実感できました。
 最後に、講師の方は「高齢者の方がいろいろな場面で、ゆっくりしていると感じることがあっても、今日の体験で体の不自由さを理解してもらって、“少し待つ優しさ”や“ちょっとした気遣い”をしてくれる方が1人でも多く増えると嬉しいです。」とおっしゃっていました。

感想

生徒の感想 【彦根市立東中学校の生徒より 】

連携授業のようす
  • 今日の学習で福祉のことに興味を持ちました。そして、高齢者の方たちの大変さがよく分かりました。もし、困っているお年寄りの人がいたら、自分に手伝えることはしよう思いました。
  • ゴーグルで明るいところを見ると何も見えなくてパニックになったり、人の顔が分からなくて困ったし、体がとても重かったです。この状態で過ごすのは大変で、歩くのが怖いと思いました。1日だけならともかく、毎日これだったらとてもイライラして疲れると思います。自分が思っていた以上にお年寄りの体は不自由であることを、身をもって知ることができました。これからはこの経験をしっかり生かしていきたいと思います。 
  • とてもいい授業でとてもよく分かりました。目がぼやけて見えたり、自分の声がこもって聞こえたり、足が思うように動かなかったりして大変でした。これは体験しないと分からないことなので、良い経験をしたと思います。
  • 高齢者は、こういう苦労に耐えながらも明るく元気でおられることがとても力強くたくましい存在に思えました。普段、普通にできていることが全然できなくて大変でした。これからは電車とかで高齢者の方に席を譲ったりしていきたいと思います。
  • 歩くのもしゃがむのも、字を書くのも、すべて大変でした。私も高齢者になったらこんな風に見えにくかったりすると思うと、とても不安になりました。でも、学習してそれが分かったので、良かったです。元気なおばあちゃんになれるように、今から体を動かしていこうと思いました。
  • こんなところに手すりがなくてもいいのにとか、速く歩けへんのか、と考えてしまって相手のことを知らないのにひどいことを考えていました。自分自身が高齢者の疑似体験をして、今まで自分がどんなに軽く考えていたのかを身をもって知りました。これからは何事も温かい目で見られる気がします。今回の体験で、道にスロープや手すりがあると安心できたので、もっとそういうところが多くなれば良いと思いました。

学校・園の感想 【彦根市立東中学校の先生より】

 体験的な学習を通して、生徒達は、高齢者の不自由さ、不便さなどを感じ、自分の周りの人にどのようにかかわれるのかや、自分自身も老いていくという現実など、考えを深め、広げるよいきっかけになったと思います。また、講師の先生から分かりやすく語りかけるように話していただき、生徒の心にしみ込んでいくものがありました。
次年度もぜひお願いできたらと考えております。今日の連携授業のためにいろいろご準備いただき、ありがとうございました。

講師の感想 【滋賀県社会福祉協議会福祉用具センターの方より】

 人数が多いことで不安もありましたが、生徒さんは恥ずかしがりながらもチャレンジリストにそって色々な体験をしていたように思います。
 普段、中学生に接することがなくとまどうこともありましたが、もっと興味を持って体験してもらえるように考えていきたいと思います。ありがとうございました。

生徒たちへのメッセージ

 高齢者体験、お疲れ様でした。この体験を通じて、人の身になって考えるということを意識するようになってもらえたらうれしいです。

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