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湖国の21世紀を創る図書館整備計画

−滋賀県の公立図書館振興政策−

昭和63年10月1日・滋賀県図書館振興懇話会報告


5.県の補助政策 「湖国の21世紀を創る図書館整備計画」の発足
 現在の滋賀県の図書館の発展に果たした県の補助政策の役割は非常に大きい。ここで、県内の公立図書館の設置を促進しさらに発展させるため、また現在の問題点を解決するために、県の新しい補助政策を「湖国の21世紀を創る図書館整備計画」として発足させる。

 図書館の設置と充実はもちろん市町村それぞれの努力によらねばならないが、県は市町村の努力を励まし、一定水準以上の図書館を設置させるため、一定の条件を付して、効果のあがる補助金を市町村に交付する。

 今後設置される町村立図書館は、おおむね人口2万人以下であり、財政基盤も弱い。このため、人口2万人を境界として、補助金に差をつける。

A:補助の条件

  1.  図書館法および同施行規則に規定された最低基準を満たしていること
  2.  図書館(分館を含む)の延床面積が600?m2以上であること。
  3.  資料購入費については、補助をうけようとする図書館の図書費が、 1500円(昭和63年)に、人口1,000人あたり150かまたは 3,000のうち大きい値を乗じた額以上であり、かつ雑誌の購入種数 50種以上であること。

B:補助金の額

1:建設費 

表「建設費補助金算定表」のとおりとする。

建物延床日面積 (m2)
県費補助金
備考
  600以上  1,000未満
    50,000千円
国庫補助金は1館あたり平均56,000千円で、面積により増減する。
 1,000以上  1,400未満
    60,000
 1,400以上  2,000未満
    70,000

 2,000以上  3,000未満

    80,000
 3,000以上
 

2.資料費

 人口2万人以上の市町については、図書費・新聞雑誌費の三分の一、人口2万人未満の町村については、おなじく二分の一とする。ただし1千万円を限度とする。補助の期間は10年間とし、人口2万人以上の市町については9年目を四分の一、10年目を五分の一に、人口2万人未満の町村について は8年目を三分の一、以下四分の一、五分の一に低減する。

3:移動図書館

補助対象経費の三分の一とする。250万円を限度とする。

6.県立図書館の役割と体制
 県立図書館の中心的な役割は、市町村立図書館の援助、市町村立図書館を通じての県民へのサービスであるが、直接来館する県民へのサービスも重要である。 ここでは、市町村立図書館への援助のみについて述べる。

A:貸出しとレファレンス

 県民からよせられた資料や情報の要求は、まず市町村立図書館でうけとめられ、そこでは提供できないものが、県立図書館に転送され、県立図書館の資料 によって提供または処理される。この働きは県立図書館の役割のなかでも最も重要で、これによってはじめて県立図書館は全県民にサービスしていると言える。市町村立図書館の増加によって、今後この働きの重さは増加するが、サービス水準が低下するようなことがあってはならない。

B:書誌・索引の作成と提供

 滋賀県に関する資料の書誌・索引をつくって、県内の図書館や関係機関に配布するのは県立図書館のつとめである。現在、新聞記事索引がつくられているが、郷土資料総合目録、雑誌記事索引(滋賀県関係、家庭むき実用記事など)をつくる必要がある。

C:資料の保存

 県内の市町村立図書館は、ほとんど利用されなくなった図書を保存する書庫 スペースは持っていない。しかし、除籍には抵抗やためらいがあり、これらの図書もどこかで一部は保存する必要がある。これらの図書を、県立図書館にうつし、必要なときに全公立図書館が共同に使うことができれば、全県的に効率の高い資料保存体制ができるであろう。 県立図書館の書庫はすでに飽和状態にちかく、早急な書庫の増設がのぞまれる。

D:市町村立図書館の目録作成への援助

 コンピューターを導入した図書館では、目録用磁気テープの購入を図書購入とセットにしている館があり、入荷のおくれによる利用への影響がでている。 県立図書館の書誌データをつかい、市町村立図書館それぞれの目録を早く確実に作成する体制をつくるべきである。

E:職員の研修

 県内公立図書館職員のため、県立図書館は図書館講座などをひらき、専門的資質の向上につとめる。

F:県立図書館職員の市町村への出向

 市町村は、必要な専門職員を採用すべきであるが、やむをえない場合には、県立図書館の職員が市町村へ出向する道もひらいておく。

7.県教育委員会の市町村教育委員会への指導・助言
 県教育委員会は、全ての市町村に図書館が整備充実されるよう、未設置市町村の教育委員会には、図書館の必要性や果たすべき役割について、トップも含め、理解認識を得るよう指導助言し、また、既設の図書館についても、住民の利用にたえうる水準が十分保てるよう必要な指導助言を行ってきたところであるが、図書館の未設置町村がまだ相当数あることや、生涯学習時代の到来をふまえ、今後一層指導助言や援助が望まれるところである。なお、指導助言にあたっては、当然のことながら、県立図書館との連携をはかるとともに、それぞれの市町村の主体性が損なわれることのないよう留意する必要がある。
滋賀県図書館振興懇談会
 森  耕一 (光華女子大学教授)

 今関 信子 (児童文学者)

 武内 隆恭 (滋賀県公共図書館協議会会長)

 西田 博志 (滋賀県図書館活動推進協議会会長)

 前川 恒雄 (滋賀県立図書館長)

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