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3.滋賀県の図書館:現状と問題点

A:図書館の発展

 滋賀県ではながいあいだ、図書館の数もすくなく、内容も貧弱であった。昭和50年頃から新しい図書館をつくる動きがうまれ、5年後から本格的してきた。新しい図書館はそれぞれ先進館に学び、それらをのりこえる図書館として発足した。

 県はこのような市町村の動きに歩調をあわせ、さらに一層図書館の充実をはかるため、昭和55年に図書館に対する補助政策をスタートさせ、これによって、施設、図書購入費が一定水準以上に維持され、県内市町村立図書館の発展 にはかりしれない影響をあたえた。

 その結果は表1のような飛躍的な図書館発展となってあらわれている。また、数字だけでは十分とらえられない業務の姿勢、市民に密着したサービスも、県民から高く評価されている。

年度
図書館数
職員数
受入冊数
貸出冊数
市立
町村立
総数
職員ひとりあたり人口
総冊数
人口千人あたり冊数
総冊数
人口百人あたり冊数
54 3 2
(人)
58
(千人)
18.4
(千冊)
101
(冊)
94
(千冊)
506
(冊)
47
56
4
3
73
15.1
128
116
629
57
58
7
3
100
11.2
160
143
1,663
149
60
7
3
100
11.4
180
157
2,275
199
62
7
6
115
10.3
221
186
2,787
235
職員数・受入冊数には県立図書館を含む / 貸出冊数は市町村率図書館実績数値人口あたりの数値は
滋賀県の人口で算出(図書館設置市町村の奉仕対象人口ではない)

B:設置率
 滋賀県では、市にはすべて図書館が設置されているが、町村立図書館は6館にすぎず、その設置率(14%)は、全国平均(17%)にくらべて低い水準にとどまっている。富山県のように100%設置の県もあるが、少なくとも町村立における設置率50%にはできるだけ早く達しなければならない。町村立図書館の設置促進が当面の課題である。

C:図書館の内容
 滋賀県の図書館はさきにみたように、急速に発展してきたが、その内容をよく見ると、いくつかの問題が伏在している。

(イ)施設
 市は市域も人口も大きいが、本館1階だけで、分館をもっている市はない。計画では数館の分館設置をおりこんでいる市もあるが、実現されていない。分館をのぞむ市民の声は各地で高く、図書館が住民の生活に必要不可欠な施設となったいま、市においては分館の設置が今後の課題である。
 図書館によっては、施設が小さく、また複合施設で使いにくいなどの欠点がある。当初小さく建て、数年後には増築せざるをえなくなった例もある。これからは一定水準以上の施設をつくらなければ、市民の利用にこたえられず、あとあと問題をのこすことになるであろう。

(ロ)資料
 図書館の蔵書はその新鮮さによって魅力あるものともなり、市民にあきらめられるものともなる。つまり、図書館の利用が期待できるための、図書の新鮮さによる臨界点が存在する。
 県内の図書館の年間増加冊数は、だいたい一定水準を保っている。これは、人口1,000人当たり125冊を条件とする県の補助政策の成果といえる。しかし、この基準は低きにすぎ、すでに現実にあわなくなっている。また蔵書数とその新鮮度には最低の限度があり、どんなに小さな町村でも、この限度以下の図書館では利用がなく、結果的に無駄になる。
 また、なかにはこの基準が上限となっている市町村がある。補助の条件と補助金算定の基礎を分離しなければ、この矛盾は解消しない。
 図書館資料は、図書、雑誌、新聞、視聴覚資料など範囲はひろいが、滋賀県 内の図書館の弱点は雑誌の少なさにある。現在雑誌の売り上げは表2のように急激にのびており、これはより新しい知識情報をもとめる市民の要求を反映したものである。ところが、現在発行されている雑誌約3,700種のうち図書館が購入している雑誌は、平均110種にすぎず、最大で335種、最少は16種である。

(ハ)職員
  図書館の施設。資料はともに重要であるが、すべての活動は結局職員によって決定される。図書館に情熱をもち、専門的な知識と経験をもった専門職を採用し養成しなければならない。現状の問題点は、職員数を別にすると次の三点である。

  • 識見と専門能力をもった職員(館長)の配置
  • 職員の身分が不安定な例がある。
  • 職員の他部局との交流が頻繁すぎる例がある。

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