平成5年10月 滋賀県社会教育委員会議報告書

生涯学習社会における施設の充実と
ネットワーク化について(建議)
はじめに
 今日、“激動”の時代を迎え、人々の価値観にも、 「物 」から「心」へ「全体」より「個」を、「量」より「質」を、などといった変化がみられる。

 また、「生涯学習県民意識調査」(平成3年度)によると、今後何らかの学習活動を希望する人は92.5%、ボランティア活動に参加意向のある人は70.9%、リカレント教育を受けたいと思う人は34.4%となっており、県民の学習ニーズの高まりと、その多様化・高度化を窺うことができる。

 こうした生涯学習社会の実現に寄せられる期待に応えるために、本県では、平成2年度に策定(平成5年度一部見直し)された「楽しみ ふれあう 滋賀の生涯学習推進プラン」をもとに、ソフト、ハードの両面において諸施策が推進されている。

 一方、国においては昨年7月、生涯学習審議会が「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」答申し、当面重点をおいて取り組むべき四つの課題(社会人を対象としたリカレント教育の推進、ボランティア活動の支援・推進、青少年の学校外活動の充実、現代的課題に関する学習機会の充実)が示されたところである。そして、これらいずれの課題を取り上げても、社会教育分野はもとより単独の施設や機関において取り組めるものではなく、「関係の施設や機関が互いに密接な連携をもつ必要がある」と指摘されている。

 そこで、本会議では、昨年度より、これらの課題が本県の生涯学習社会づくりを進めるうえで時宜をえたものであるとの認識に立って、「既存施設の機能充実」と先の四つの課題等を観点とした「ネットワークのあり方」について協議を重ね、このたび「生涯学習社会における施設の充実とネットワーク化」について建議としてとりまとめたところである。

2 ねらい
 今日、生涯学習には、長寿社会の到来によるタテの広がりと、複雑で多様化する社会への対応によるヨコの広がりに加え、より高度で専門的な学習ニーズに応えるための内容(質)の深まりが要請されてきている。

 こうした要請に応えるためには、生涯学習にかかわる各行政組織が相互の連携を密にするとともに、住民の学習拠点である各種「施設」を充実・ネットワーク化していくことが、是非とも必要である。

「施設」の充実とネットワーク化による効用としては、次のことが期待できる。

 ア.学習の場の拡大
 イ.学習機会の拡充
 ウ.広範な学習情報の収集・発信
 エ.効率的な行政の推進

 なお、“ネットワーク化”は、横の連携、つまるところ、人と人とのつながりがポイントであることを付言したい。

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