平成14年3月 滋賀県社会教育委員会議報告書

21世紀の新しい社会教育のあり方について

社会教育行政と社会教育関係団体,NPO,ボランティア団体,
民間教育事業者等との連携・促進のために〜

第4章 これからのパートナーシップへの提案
1)社会教育行政とパートナーシップ
 第3章「社会の変化とNPO」のところでも述べているが、社会情勢の変化に伴い、住民の求めるニーズは益々多様化、高度化、複雑化している。その中において、今後も魅力ある活力あふれる地域社会を築いていくためには社会教育行政や社会教育関係団体、NPO、ボランティア団体、民間教育事業者等がお互いに特長を出し合って、垣根を越えたパートナーシップに基づく協働の実践が必要になっている。このように、住民活動が注目される背景には、一つには、公益を実現するのは行政の役割であって、住民はその公共サービスの受益者であるという、固定した役割関係の発想では、住民ニーズや地域課題に対応できなくなっていること、二つには、行政の利用可能な資源が質・量ともに限界にきていること、三つには、住民の持つ資源を有効利用していくことで、住民自らが生活を支えなおすことで、自立した住民の育成に資することなどがあると考えられる。
2)これからの社会教育行政と社会教育関係団体等との関係のあり方
 社会教育・生涯学習の推進において、これまでは社会教育行政と社会教育関係団体とは、指導助言・補助・優遇のもと、連携・協力・委託−受託という構図の関係であったが、これからは、「いつでも、どこでも、誰でも」の理念のもと、生涯学習の推進をはかるならば、社会教育行政は社会教育関係団体のみならず、NPO、ボランティア団体、民間教育事業者等のそれぞれの関係において、対等・支援・情報提供をしながら、連携・協働・受託−委託の関係になることが望ましいと考えられる。

 したがって、今後のあるべき社会教育行政は、単に指導助言し、育成するという一方的な関係に終わらず、「共に学び、共に育ち、共に変わる」関係を創造していく必要がある。

 これからの社会教育行政が、今日まで既存の社会教育関係団体が果たしてきた役割を十分に評価するとともに、NPO、ボランティア団体等の新たな市民活動団体や様々な民間教育事業者と連携することは、社会教育・生涯学習に関する情報を幅広く収集・提供し、住民のニーズに応える優れた施策・事業を企画していくためにも不可欠と言え、それぞれの相互関係の新たな構築が求められる。

【これまでの社会教育行政と社会教育関係団体の関係】

【これからの社会教育行政と社会教育関係団体等との関係】

3)パートナーシップ関係構築のための拠点づくり

 急激な社会変化に伴う多様な現代的課題の増大と住民の学習ニーズの多様化に応える学習機会の提供や学習の成果を生かすことのできる環境の充実・拡大は、活力あふれる地域社会を築き、生涯学習社会を実現する上で必要不可欠である。そのためには社会教育行政や社会教育関係団体、NPO、ボランティア団体、民間教育事業者等がお互いの垣根を越え、パートナーシップに基づき協働の実践を行うことが必要になってくる。そうした協働の実践を推進するためには、地域における身近な社会教育施設である公民館が活動の拠点として、その果たす役割は今後益々大きくなるものと考えられる。

 いずれにしても、社会教育関係団体、NPO、ボランティア団体、民間教育事業者等が相互にパートナーシップの関係を構築することであり、また、社会教育行政とのパートナーシップの関係を構築する上で、公民館のコーディネート機能の充実は極めて重要であると考える。

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