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4 企業内における家庭教育の展望

 簡単ではあるが、直接従業員の方々を対象としたアンケートの結果や企業の研修担当者からの聴き取りからから推察すれば、直接的にしかも目にみえて営利と結びつかない問題だけに今すぐこれを取り入れて実施しようとする意欲は企業側には見当らない。試行した2社についても1社は従業員の方々の自主的なサークル活動の一環としての企画であり、他の1社は職長クラスの研修会の残りの時間の割愛であったりして、今それに是非参加したいと望んでいる人たちであったかどうかは若干疑問である。

 しかし、アンケート4でも見られるように、話を聞きたい場所の1位に「職場」と答えた人が3割強を占める事やアンケート6の「勤務時間外でも参加する」という人が男子で87.5%女子で66.6%あることなどからもし企業で取り入れてもらえるならその普及はかなり大きなものとなることが予想されよう。しかし、公民館への自ら出かけるよりも出前で届けてもらう方が便利だなどと思われても困るので、あくまで公民館やPTAの研修会に休暇をとってでも出かけて行こうという意欲換起やきっかけづくりの仕掛人としての役割にとどめるべきではなかとうか。

 また、小委員会の中でも話題として出ていた「家庭教育がしっかりしていないために成人としての社会語が話せず電話恐怖症になったり、甘やかされて育っているためにわがままで協調性に欠けている」など企業のトップ(経営者)は実感として捉えており即効的な変容は望めないにしても、みんなで社会全体として人を作っていくという姿勢を企業が持ってもらえるならば教育としてのこうした企画は今後発展的に普及するであろうと思われる。

 しかし、こうした事業をいきなり企画して協力を求めてもおそらく戸惑いのあることが予測されよう。この検討に携わった委員の方々の中にも「その必要性をあまり感じないままに検討に入ったが、話し合いの回を重ね深まってくるうちにその重要性を認識した」と感じている人もあり、多くの実践例をつくり企業としてのメリットも加えてPRして行くことにより、この企画の重要性を認識してもらえるのではなかろうかと思われる。

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