平成8年3月 滋賀県社会教育委員会議報告書

『学校、地域社会がともに取り組む生涯学習のあり方』

子どもの体験をどう育てていくか

学校と地域社会の連携
 これまでの学校と地域社会の連携は、両者のそれぞれの役割を相互に補完するべく、学校教育や社会教育の場において様々な取り組みが行われてきた。

 だが今や、両者が一体となって創造的な取り組みを進めることが求められている。

1 学校教育に求められるもの
 学校教育は、人間として自立するための基礎・基本を培うことをめざすとともに、生涯学習の基盤づくりという観点から、児童・生徒に対して生涯を通じて学ぼうとする自己教育力を身につけることを目的とする。

 勿論、このような目的は学校教育だけで達成できるものではなく、保護者や教職員、地域の人々とのふれあいや各種活動など、豊かなコミュニケーションをとおしての人間関係のなかに期待するところが大きい。

 今後、学校教育は、地域社会の教育資源と機能をより有効に活用していくとともに、自らも学校施設の開放や教員の意識改革を図るなど、 「開かれた学校 」づくりを積極的に推進していく必要がある。 

ア.教育資源の相互活用
 これからの学校教育は、地域の人々の知恵や技術に学ぶため、地域の人材を有効に活用し、創造的な学習活動を展開することが必要である。

 地域においては、PTA活動の推進や、家庭、地域の連携活動の活発化、公民館をはじめとする社会教育施設との連携事業への取り組み、さらに、まちづくりへの協力や参加等を積極的に推進していくことが大切である。

イ.学校施設の開放
 今日まで、地域社会への施設の開放は、スポーツ施設(体育館、運動場等)を中心に行われてきたが、近年の学習者のニーズに応えていくためにも、地域の身近な学習活動の場として、余裕教室など学校施設の開放への取り組みが必要である。また、そのためには、今後、施設の改造や管理体制の確立が緊要の課題である。
2 社会教育に求められるもの
 学校教育は長い伝統と実績のもとに、確固たる教育体系を築いてきたが、その学校教育が生涯学習社会の進展の中で、どう変容していくかということはこれからの社会教育の進め方とも大いに関連する。

 したがって、社会教育の充実や地域における生涯学習の推進のためにも、これからの学校教育の変容に関心をもちながら、学校の資源を活用し、地域の教育力の向上につとめることが大切である。

ア.プランナーの拡充
 社会教育では、これまでも学校の教職員の協力により地域活動の充実にあたってきたが、今後は学校週五日制の拡大によって、教職員が今まで以上に地域活動に参加しやすい条件も整いつつあり、社会教育事業のプログラムづくりをはじめとする企画立案の段階や様々な指導に際して、教職員の専門的知識や技能が活用できるようなシステムづくりと活動の場の整備を図る必要がある。
イ.社会教育施設からの情報の発信
 学校教育において、地域の教育資源や機能を活用したり、学校が個々に情報を入手しようとする場合などに、必ずしも十分な体制が整っているとはいえない。

 社会教育の資源利用価値を高めるためには、公民館や図書館、その他の社会教育し施設において、様々な情報をとりまとめ、学校に提供したり、相談にのる体制とコーディネーターの存在が不可欠である。

3 連携推進の組織化
 学校、地域社会が同じ内容の行事や企画を個々に行っている場面もしばしばあり、学社連携をすすめるうえで、情報の相互提供の場として、両者の連携方策について検討する「推進会議」を具体的に組織化することも意義のある取り組みである。

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