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平成10年3月 滋賀県社会教育委員会議報告書 夢のある家庭・地域社会をどう創りだしていくか〜家庭の教育機能を高める支援方策について〜 |
■夢のある家庭・地域社会づくりに向けて
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1 家庭(親)の自助努力の促進を図ること
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「子どもの教育は親の責任」、今一度、親自身がそのことを自覚し、日ごろから親子の接触、対話、親子行事への参加等、親としての役割を十分に発揮するように努めるとともに、父親への期待が大きい昨今、そのライフスタイルや働く姿を見せることが、今、重要です。また、その父親を支援する行政や企業等の役割も求められます。
更に、家庭の伝統・文化を築いていくために、家庭における祖父母や地域における高齢者の存在は大きく、長い人生経験の中から学ぶことが多くあります。しつけや家族間の心等、両者が共に学びあう機会をつくることも大切です。
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2 直接体験活動を重視すること
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都市化の進展、生活様式の変化等により、子どもたちは自然との接触体験や身体活動の機会の不足、また塾通い、TVゲーム等による交遊関係の不足から、様々な社会性や情操の発達阻害をきたしています。
今日、自然とのふれあい体験や、物をつくることやそれを使うこと、更に、「見る」ということなど、より多くの感動体験の機会が求められています。 このように、子どもが自然体験等の機会を多く持つためには、家庭内の取り組みだけでなく、親自身が社会教育関係団体をはじめ各種団体の活動に積極的にかかわり、子どもと共に取り組むことが望まれますし、学校、行政、企業などの様々な連携も重要です。
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3 多様な「ひと」とのふれあいを深めること
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加速度的に進む今日の高齢社会に向け、各世代が安定と調和のとれた生活をおくることができるようにすることが、今、最も求められていることです。
そのためには、世代間の精神的な結びつきが高められるような場を開発することが急務です。特に、人の温かさを肌で感じるには、身近な地域の高齢者の豊かな人生経験にふれることが大切です。
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4 地域の連帯を強めること
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家庭を支えるものに「地域」があります。都市部や農山村部等で実態の差はありますが、日ごろからの人間的なつながりや、地域の結束を強めることが、家庭の足腰をより強めることになることはいうまでもないことです。
そのためには、地域の各種社会教育関係団体が、新しい時代の流れに沿った組織や運営の在り方を考えることや、地域の教育関係者をはじめ、学識経験者、経験豊富な人や、子育てで悩んだ親など、多様な人材を発掘・活用して、地域行事の継承や活性化が望まれます。 また、ふるさとを愛し、誇りに思う次世代の子どもたちを育成する上で、地域の文化伝承への意図的な取り組みも必要です。
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5 子どもの「あそび」に本気に取り組むこと
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子どもたちの「あそび」を考えるうえで大切な要素として、「仲間」「空間」「時間」の三つの「間」があげられます。
仲間は、群れ遊び、様々な体験をしながら、人にもまれ、自我をぶつけ合いながら人間関係や社会性など生き方を学びます。 空間は、子どもたちの出会いや遊びが繰り広げられる場であり、今、その環境や機会づくりが必要です。 時間は、日々の生活の中からあそびを生み出すゆとりのことであり、情報過多と多忙な日々の中、自らが選択しつつ時間的なゆとりのつくり方が求められます。 「あそび」に本気で取り組むためには、親、地域社会が学業優先の考え方から、「あそび」の価値を再認識することが重要です。
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6 リーダー(特に青年層)の養成を図ること
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子どもの発達段階から見ると、青少年期において一生付き合える友達を得ることができるともいわれ、地域に根ざした青少年活動の支援とリーダーの発掘、養成は重要です。
先の阪神・淡路大震災時の青年たちのエネルギッシュな活躍等を見ても、いま青年層の出番を考えるときでもあります。 そのためには、親や大人が青少年に積極的に働きかけ、様々な活動を支援するなど、育成者のネットワークづくりが大切です。 また、近年の子どもの減少への対応に向けては、各団体が可能な限り横の連携を深めることにより、活動を共有化するなどのアイデアが求められます。
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7 社会倫理の確立を図ること
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高度経済成長期から今日まで、物質文明は豊かになってきましたが、反面、精神的部分が今日問題視されているなか、心の教育を再構築することが重要です。
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8 各種情報、資料提供の充実を図ること
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経験不足の若い親たちは、各種の情報についての入手方法やそのネットワーク化を期待しながらも、その窓口を見つけられないままに過ごしていることが多くあります。
相談体制の整備や、だれもが容易に検索できる情報提供システムの構築が望まれます。
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9 積極的な啓発活動の展開を図ること
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今日、家庭や地域は青少年の健全育成に重要な教育機能を持っていることを啓発し、社会全体の意識を今一度高めることが急務であります。
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