平成12年3月 滋賀県社会教育委員会議報告書

新しい時代に対応する青少年教育のあり方について

〜社会全体で子どもを育てる環境づくりのために〜

新しい時代に対応した青少年教育をどう考えるか
 今から四半世紀前にあたる昭和49年、文部省社会教育審議会建議 「在学青少年に対する社会教育の在り方について−家庭教育、学校教育と社会教育との連携− 」においては、在学青少年を含むすべての青少年を対象とする社会教育への施策の充実が提言され、社会教育、家庭教育、学校教育の連携のもとに、小・中・高校生に対する社会教育活動を促進することが期待されていました。しかし、この時期は、保護者も学校教育に対する期待が大きく、また、学校でも教科指導や部活動指導だけでなく生活指導や非行防止まですべて学校で解決しようとする傾向があったため、この提言が十分に活かされてきませんでした。

 しかし、21世紀にたくましく社会を担う主体者としての青少年を育成していくためには、既存の学校教育、社会教育だけでは対応していけない状況となっています。

 青少年の自己実現を図るためには、新しい発想のもとで、「生きる力」の醸成から一歩進んで「生き抜く力」を育むことが重要であり、地域社会の人材を活用し、各世代の協力と交流による教育が必要であると考えます。

 また、単なる自然体験やボランティア体験等の社会体験だけではなく、観察・実験、見学・調査、発表・討論などを組み合わせた計画的、意図的な体験活動の実施、「ものづくり」や生産活動にかかわる体験も今後ますます重要視されなければなりません。

 さらに、学社連携から学社融合へと社会教育プログラムを学校教育の中へ位置づけ、取り入れていくことが必要であります。そのことによって大人社会を学校現場へ引き寄せ、学校を社会化し、青少年の社会性を地域住民とともに身近なところで育成する必要があります。

 文部省では、地域で子どもを育てるための緊急3ヶ年戦略として「全国子どもプラン」を推進しています。この「全国こどもプラン」は、21世紀を担う「生きる力」をもった子どもたちを育てるために、2002年(平成14年度)の完全学校週5日制の実施に向けて、2001年までに地域で子どもを育てる環境を整備し、親と子どもたちの様々な活動を通して、子どもたちの心を揺さぶるような体験活動・地域づくりや人々との交流を図る取組を振興するための緊急かつ計画的な施策であります。

 滋賀県としても、こうしたことを考慮に入れながら社会教育関係団体などと連携し、滋賀らしさを生かした地域で子どもを育てる環境づくりの推進のための施策を積極的に行う必要があります。

| 戻る | 次へ |