平成14年3月 滋賀県社会教育委員会議報告書

21世紀の新しい社会教育のあり方について

社会教育行政と社会教育関係団体,NPO,ボランティア団体,
民間教育事業者等との連携・促進のために〜

はじめに
 急激な社会変化の到来にともない、多様な現代的課題の増大と市民の学習ニーズの多様化に応える学習機会の提供が求められ、学習の成果を生かすことができる生涯学習社会の環境の充実・拡大の実現に向けた取り組みが急務となっている。

 このことは、社会教育の果たす役割が年々重要さを増すとともに、時代の変化に対応する新しい社会教育のあり方が問われているとも言える。

 さて、滋賀の社会教育の基は、戦前の昭和の初め頃に滋賀県が全国に先駆けて社会教育課を設けたところにさかのぼり、そうした土壌の上に、戦後、いち早く全国に先駆けて公民館の第1号が大津市に誕生した。

 とりわけ、昭和23年から24年頃に創立された滋賀県青年団体連合会、滋賀県地域婦人団体連合会、ボーイスカウト滋賀連盟などの社会教育関係団体は、戦後の社会情勢の変化の中で、地域づくりや人づくりのために、他の団体や地域住民、行政等と連携・協力して県域の団体として精力的に活動し、地域社会に果たしてきた役割は非常に大きいものがある。

 しかしながら、今日まで地域に基盤をおいてきた社会教育関係団体は、急激な社会変化にともなう地縁関係の希薄化により活動は様々な問題に直面しており、従来の手法では十分な活動の成果があげられない状況になっている。

 その背景には、国の生涯学習審議会の答申(平成10年)でも指摘されているように、これまでの社会教育行政が既存の社会教育関係団体を重視し、奨励すべき活動に対して補助金を交付して支援するなど、連携を密にしてきた結果、団体内部からも行政の支援を前提とした事業展開が中心となり、本来の団体自身の自立的な意識が希薄になったことは否めない。

 このような中において、阪神淡路大震災以後、ボランティア活動への関心が高まったことと、平成10年の特定非営利活動促進法(NPO法)制定以来、法人格取得は別として、NPOと呼ばれる市民活動団体をはじめ、様々な形のボランティア活動が活発化するなど、従来の社会教育関係団体とは異なる特徴をもつ団体が出現し、社会参加のあり方も多様化している。

 また、先の社会教育法の一部改正、学校教育法の一部改正に見られるように、生涯学習社会構築や青少年の健全育成のためには社会教育と学校教育が相互に協力し、連携していくことが大変重要であるとし、新たな社会教育の展開には、学校教育との連携・融合が益々必要となることも示唆している。

 そこで、今期の滋賀県社会教育委員会議では、今日までの社会教育の現状と課題を探りながら、21世紀における新しい社会教育のあり方について審議を重ね、今後の社会教育の発展の一助と期すために、その審議の結果を報告するものである。

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