ホーム生涯学習課の取り組み滋賀県社会教育委員会議「これからの公民館のあり方」について(提言)

平成18年2月 滋賀県社会教育委員会議報告書

「これからの公民館のあり方」について
(提言)
3.住民主体の取組みへの公民館の役割
 公民館は、主催事業を実施するだけでなく、住民のさまざまな活動を育成し、それらの活動に必要な情報の提供などの支援をすることが期待されている。このため、公民館主催事業への企画段階からの住民参画などにより、自立した主体的な活動ができる住民の育成を目指すことも公民館に課せられた役割といえる。

 そこで、住民主体の活動の推進に向けた公民館の支援、コーディネート機能などについて整理した。

(1)住民が参画するしかけづくり

 公民館での主催事業における住民の関わりは、公民館調査では、職員のみで企画し実施したが約7割、職員と住民が共同で企画し実施したが約2割、住民が中心となって企画し実施したが1割弱という状況にある。

 事業の実施にあたって企画段階から地域住民の参画を得ることは、住民や団体の力量を高めることに繋がるとともに、自分たちの手で公民館を活性させ、ひいてはまちづくりに取り組んでいこうとする意識が芽生えることにもなり、重要な取組みといえる。

 公民館調査では、既に一部の公民館において

 ・文化振興会や学校PTAと連絡を密にし実行委員会を組織した事業展開。

 ・各地域から選出された公民館事業部員の合議による企画段階からの参加。

 ・受講生から選出の委員による企画・立案および参加者承認による事業実施。

 ・職員とボランティアによる定期的な事業内容、運営方法の協議。

などの取組みが実践されている。今後は、すべての公民館が、コーディネート機能を生かして事業に住民が主体的に参画するしかけづくりに取り組むことや、住民や各種団体等の活躍の場を提供することが求められている。

地域住民の企画・提案による公民館運営

 守山市の小津公民館では、高齢者学級・女性学級生で組織された運営委員会が公民館事業の企画・運営に参画されています。また地域住民や団体などの企画・提案により公民館講座を随時実施され、加えて、住民が気軽に立ち寄れる雰囲気づくりにも努められています。人と人との関わりがより円滑になる事で学習環境が充実し、学習成果があがるよう配慮されています。


「女性さわやか学級」(小津公民館)



(2)住民主体による活動への支援

 これまで公民館では、講座の修了生が自主学習や公民館サークルへと繋がるよう住民主体の学習活動を支援してきており、その成果として、各地で熱心な活動がなされている。しかし、一方では、そのような活動が「公民館族」ともいわれ、公民館の利用者が一部の住民に固定化されるという状況を招いているとの指摘もされてきた。学習活動サークルに対して、例えば、子どもの体験活動の支援や住民向け講座の開設へ誘導するなど、住民主体による活動として取り組まれるようコーディネートしていくことが必要である。

 さらに、支援の領域を公民館の外に向けることも重要であり、地域で主体的に活動を展開していこうとする住民に対して、公民館が的確なサポートをしていくことも望まれる。

 例えば、団体の組織づくりや自主講座の開催に際しての助言、活動の活性化のためのネットワークづくりの進め方や必要な情報提供などといった人的な支援をはじめ、作業や打合せのための場所の提供や印刷機材使用などの物的な支援をしていくことも期待されている。

住民主体による活動への支援

 近江八幡市の金田公民館を拠点に平成16年7月に活動を始められた「金田ミュージカル劇団」は地域の大人と子どもたちが協力し、舞台を創っていくことの喜びを知ることを目的として、公民館に配置されている地域コミュニティ・コーディネーターのはたらきかけにより結成された劇団です。平日の放課後や土曜日に、公民館を会場にしてレッスンや道具づくりに取り組まれています。

 将来は、近江八幡市にちなんだ脚本や歌づくり、また、個性あふれる舞台づくりも手がけていきたいと意欲的に活動がなされています。


「初舞台『どんぐりと山猫』」(G−NETしが)



「話し合い」(岡山公民館)
幅広い活動の担い手がまちづくりをサポート

 近江八幡市の岡山公民館では、岡山学区の風景、祭り、風習、行事などが紹介された「岡山いいとこ50選」の冊子を学区民の手によって編集し全戸配布されました。

 また、学区内でのさまざまな情報を「地域ふれあいステーション」と題してインターネットのホームページを通じて情報発信されています。

 これらの取組みは、岡山学区まちづくり協議会や文化振興会などとの連携・協働の成果によるものですが、その連絡調整役を公民館が果たしておられます。


◇おわりに
 滋賀県社会教育委員会議では、今期のテーマを、「これからの公民館のあり方」として専門委員会5回、全体会4回の会議を通して審議を重ねてきた。

 家庭や地域の教育力の向上が、緊急かつ重要な課題として一層の取組みが求められる中、公民館においても市町村合併をはじめ、予算や職員の削減、指定管理者制度の導入などの公民館を取り巻く環境に変化が生じているところも多い。これまで公民館を中心として地域で取り組まれてきた社会教育の基盤が大きく変わろうとしている状況にあり、あらためて公民館が地域で果たすべき役割や住民参加と協働の方向などを示させていただいた。

 今後、各市町の教育委員会において、公民館が時代の変化にも的確に応じられるものとしてその役割が位置づけられ、人が行き交い、心をつなぐ元気な公民館として、住民によるさまざまな事業が活発に展開されることを切に期待するものである。

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