昭和53年度 滋賀県社会教育委員会議報告書

社会教育研究調査報告書
昭和53年度

県社会教育委員専門部会(家庭教育部会)報告の概要について

社会教育部会研究調査

2.家庭教育振興の方向
 以上述べてきたように、人間形成において家庭教育の重要性が多くの人々によって論 じられながら、現代社会におけるいろいろな局面(社会的要因、家庭的要因)による影響から家庭教育はゆがめられている。

 家庭は、人間の社会生活の基盤であり「いこいの場」「愛と信頼の場」であると同時に「人づくりの場でもある。家庭における教育機能の重視こそ今日特に求めらるべきものである。

 こうした意味から、今まで以上に家庭生活を見直し、家庭における大人のあり方を考え「個性ある家庭づくり」への実践が必要である。しかし一方において、家庭教育にかかわりのある諸問題は単に子どもをもつ親の責任のみでなく、家庭と家庭を結ぶ「となり意識」に支えられた地域ぐるみの活動の中から、子ども自身が生きがいとたくましさを身につけるよう援助することも家庭教育振興の上で重要な一つの方向であり、こうした地域の連帯感に支えられた教育的社会こそ渇望される社会である。

 こうした立場から、家庭教育振興の方向として次のような提言をしたい。

  1. 家庭教育に関する成人の教育的教養を高める。
  2. 生涯の各時期に応ずる適正な学習機会の提供と学習内容の明確化。
  3. 行政関係機関、各種団体との連携強化。
  4. 親と子の対話の促進。
  5. 家庭の教育機能を補完するための地域の機能の強化。
3.家庭教育振興のための具体的施策
1)よりよい親となるために
  • 特に成人男子の参加が期待できるような学習の機会を設定
  • 幼・小・中のみならず高校生の親を対象とした学級の拡大
  • 家庭教育のあり方について 有効な学習資料の提供
    • 【対象】幼・小・中・高校生をもつ親
    • 【内容】発達段階に応じた(いつ、どこで、何を指導するか)指導資料の作成と配布
  • PTA(幼・小・中・高)・婦人学級・高齢者学級等の学習活動と連携させた家庭教育学級の推進・充実

2)親と子のふれあいを深めるために

  • 名作映画の放映
  • 親子のひろば
  • 親と子のつどい

3)「家庭の日」の具体的な運動推進のために

  • 新聞おりこみ(小さな記事でも繰りかえし掲載)による積極的な広報活動
  • ポスター・標語の作成 〜県内配布
  • テレビスポット放送の充実

4)地域の教育機能の回復のために

  • 自治会単位における生活の課題に根づいた対話交流学習の組織確立(その中で教育問題もとりあげる)
  • 一貫した指導体制を確立するための共通理解をもって、地域における社会教育関係団体・学級(幼・小・中・高)・関係行政機関の連携強化
  • 青少年関係団体の育成強化

 以上、家庭教育推進上の問題点を分析する中からそれに対応する施策として何を実施すべきかについて提言してきたが、この部会の主旨が生かされ、心豊かなたくましい子どもの育つ、すこやかな家庭の建設を通して住みやすい地域社会がつくられていくことを願うものである。

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