1.多様な生涯学習に対応して、学習に必要な情報が提供できるシステムづくりとその運用
学習情報の提供は、県民の学習環境を支える大きな要素である。学習をすすめるにあたって必要な学習情報とは、旅行者が手にする時刻表や旅行パンフレット、また、駅の「みどりの窓口」にある様々な旅行情報と同じようなものである。
県民の学習情報を求める声は、今後、ますます増大するとともに、生涯学習社会では、学習情報の提供の重要性は増してくるにちがいない。
しかし、現在の公的機関による学習情報の提供は、まだ新しく未知の分野である。このため 「どのような人たちが、どのようなことを、どのような手段・方法で、どのようなところから 」提供・伝達
期待されているかを、明らかにし整備・構築していく必要がある。
本県では、昭和57年度以降、主として、市町村における学習情報提供・学習相談に資する 「生涯教育データバンク 」を設置し、基礎的な学習情報として(施設、有志指導者、団体、クラブ、視聴覚教材などの情報)を収集し資料集として、機関・団体・施設等を中心に配布されている。
しかし、現在までの本県における公的機関の学習情報の提供は、各機関が独自の内容を様々な方法で、しかも一方通行の形でなされているのが現状である。このため、県民にとっては、効率よくタイムリーに学習情報を得たり、学習相談する上で困難な点が多い。
今後は、県民が学習するに当たって、学習にかかわる情報源と県民の学習ニーズを的確に把握し、だれもが、いつでも、自由に利用できる学習情報の提供や、学習者の相談に応じられる窓口の設置など体制の整備・拡充を図る必要がある。
2.必要課題が、意欲的、主体的に学習されるためのプログラムの作成と指導の工夫
県民の学習ニーズは、高度化・多様化している傾向にあるが、どちらかといえば、自己の“いきがい”につながる趣味・教養的な学習内容に偏りがちである。
つまり、 「要求課題 」としての学習志向が強い。
しかし、学習には 「要求課題 」の学習だけでなく、市民として社会生活を営んでいくうえで必要な 「かたい 」学習もある。
これには、福祉・健康・人権・自然環境・資源・公害・ボランティアといったものから、高齢化や国際化さらに情報化などの社会の変化にともなって変化に対応するための学習、即ち 「必要課題 」があげられる。
しかし、県民にとってこの 「必要課題 」が、まだ自己の学習課題としてとらえられていないし、 「要求課題 」の学習のように意欲的に、主体的に学習されていないのが現状である。
さらに、 「生涯学習社会 」においては、今まで以上に 「必要課題 」の学習が重要になってくると考えられる。
このため、 「必要課題 」といった 「かたい 」学習が 「やわらかい 」学習のように意欲的・主体的に学習されるようさまざまな工夫がされなければならない。
つまり、 「必要課題 」の学習にかかる学習プログラム(内容・方法)が今までと同じ内容でよいのか見直される必要がある。
3.生涯学習を支える基盤の整備
「だれもが・いつでも・どこでも」学べる生涯学習社会をつくっていくことは 、何よりも重要なことである。
このために生涯学習を支援する基盤づくり、環境づくりのために下記のことが問題とされなければならない。
ア.県民の学習の場の開拓として、民間施設を含めた各施設の利用の拡大
イ.地域に密着した指導者の発掘とその有効活用
ウ.生涯学習の教材となり得る地域素材の開発