平成3年11月 滋賀県社会教育委員会議報告書

生涯学習社会における指導者養成の在り方について(建議)
3 指導者の資質
(1)生涯学習社会に望まれる指導者の在り方  (資料2)
 学校教育中心の教育体系から、生涯学習体系への移行に伴って、指導者もこれまでのように「教え、導き」という発想から、「ともに学ぶ」という発想に転換すること が求められる。その意味から、だれでもが学習者であるように、だれでもが指導者になり得るといえる。

 また、学習者にも総の厚み、見識の高さが増したことにより、学習者が指導者の見識や人間性を見抜く時代になってきた。そのため、これからの指導者には、単に技術(専門性)だけでなく、人と人とをつなぐ仕掛人として、だれからも信頼される 「幅の広い人柄 」、「あたたかみのある豊かな人間性」を備えていることが強く望まれる。

 以下の指導者に求められる「理解と認識」および「能力と技術」については、今後の指導者確保やその養成・研修事業の推進を図るうえで参考にされたい。

(2)指導者に求められる「理解と認識」
 生涯学習社会における指導者に望まれる「理解と認識」は、次のように9つの観点で示すことにした。
1.指導者の役割
世話役、支援者、相談役、プロデューサー的等
2.指導者の姿勢
自らも学ぶ、“始動者”、地域に根ざす等
3.豊かな人格
親切、忍耐、寛容、高い人権意識、文化性・感性の豊かさ等
4.ボランティア精神
ボランティア活動の種類、生涯学習におけるボランティア、ボランティア活動の実際等
5.地域社会の歴史や文化
地域の歴史、伝承、文化財等
6.生涯学習の理念
体系、系譜、社会情勢の変化、情報提供等
7.各世代の学習活動
各世代の特徴、学習ニーズ、留意点等
8.社会教育の概要
法規、施設、体制等
9.必要課題の把握
人権・環境・高齢化・青少年等の諸問題

 中でも、1.〜3.で示すように、これからの指導者は、「学習者を支援する人・自ら学ぶ人であり、感性豊かで、ボランティア精神に富む人」が望ましい。このことは、決して「格調の高さ」を要求しているのではなく、むしろ、「だれでもが指導者になれる」ことを意味している。

 ただし、6.以下の観点については、指導者の種類によって、多少の軽重は考えられる。

(3)指導者に求められる「能力と技術」
 求められる「能力と技術」については、次のとおり9つの観点にまとめた。これらの観点も、指導者の種別によって多少の軽重はあろうが、少なくとも、どの種の指導者も、H「各専門的知識・技能」だけでは、適応しなくなりつつあるといえる。
  1. 要求課題(ニーズ)の把握の仕方
  2. 学習プログラムの作成方法
  3. 情報収集とその提供、および学習相談の方法
  4. 団体・サークルの育成方法
  5. 人材の発掘手段・方法
  6. 学習の指導法(小集団学習・ブレーンストーミング等)
  7. 話術などの表現力
  8. 礼儀・マナーの身につけさせ方
  9. 各専門的知識・技能

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