昭和60年12月 滋賀県社会教育委員会議報告書

青少年健全育成のための学社連携の具体的方策について
(建議)
2.地域における青少年活動を通して
 青少年をすこやかに育てるうえで重要なことは、青少年自身が内に秘めているさまざまな可能性を引き出し、それを伸ばしていくことであり、また、仲間との活動を通して協力と責任、仲間への思いやり、ルールの尊重などの意識や態度を身につけていくことである。こうした活動は、青少年の成長にとって欠くことのできない重要な意義をもっており、こうした活動は、青少年の成長にとって欠くことのできない重要な意義をもっており、このことをもっと深く認識し、活動させるための環境づくりに積極的な役割を果たすことが必要である。かつての地域には、そこに住む人々がみんなで見守り、育てていくという、いわゆる地域の教育力が濃厚にあった。しかし、今日、地域の大人同士の連帯感の稀薄化に伴って教育機能が失われつつあることが課題となってきた。自分の子供や家庭の事だけに目を奪われることなく、子供をもつ親はもちろんのこと、もたない住民も一緒になって自分たちの住む地域社会に関心を寄せ、地域の青少年をみんなで見守り育てていくために、子ども会、スポーツ少年団、ボーイスカウト、ガールスカウト、青年団、青少年赤十字等の活動に積極的にかかわりをもっていくことが大切である。

 また、地域が自らの活性化のために企画する事業も多く、青少年の企画段階から地域の重要なメンバーとして位置づけ、遊びだけでなく、地域活動の中で働く場を設けて経験を深めさせ、地域をより豊かな生活の場に向上・充実させていくことが必要である。

 ところで、青少年団体活動は、土曜、日曜日や夏休み等の長期休暇中に行われることが多くあり、また、市町村や地域が住みよい町づくりのために地域活動を実施すると、時には行事が重なって開かれることがあり、それに参加する青少年の奪い合いが起こって、渦中にはまった青少年は右往左往するという深刻な事態が現れている。

 また、県下すべての地域に大きな組織をもっている子ども会にあっては、年齢的に自主活動の出発点でもある重要な時期の青少年を対象として団体活動をすすめているので、特に、自主性主体性を育てる取組がなされなければならないが、役員の一年交代や活動のマンネリ化、役員の手のかけすぎかた所期の目的とはうらはらに、させられて動く活動をしている状況もある。

 このような現状を打開する方策を次の三点に絞って考えてみたい。

(1)(仮称)地域活動促進デーを設立する
 住民が日々の暮らしの中で解決しなければならない課題を意識して、一人一人が互いに知恵、時間、労力、技術等を出し合って解決していく過程で信頼関係を深くし、連帯感を高めて明るく住みよい町づくりを推進していくことは大切である。なかでも、青少年の健全育成については、今後、特に中・高校生の地域活動をより活性化し、ふるさと意識、地域連帯感の高揚を図ることが大切で、中・高校生が主体的にふるさと行事(運動会や文化祭)等の企画運営や、美化活動、スポーツ活動、自然保護活動、ボランティア活動等に積極的に参加できる町づくりが必要である。

 そのためには、土曜、日曜日をはじめ、長期休暇中も行われている部活動の時間を一部地域活動に活用させるため、家庭・学校・地域社会が協力して当面、月に一回ぐらい(仮称)地域活動促進デーを設定し、青少年がゆとりをもって地域活動に打ち込める方策を講ずる必要がある。

(2)家庭・学校・地域の連携を深める研修会を開催する
 青少年が家庭・学校・地域社会の一員として豊かな人間性を育て、新しい時代のものの見方・考え方・行動力を身につけるためには、家庭・学校・地域社会の関係者が当面する課題を明確にし、互いに連携をとりながら解決策を見いだすことが強く望まれている。そこで学校教育と社会教育の関係者が、一堂に会し、具体的な課題について情報を交換し、学校と地域が一体となって解決していくための連絡会や研修会を定期的に聞く事業を、県や市町村が早急に企画する必要がある。
(3)団体活動の活性化と指導者の資質の向上を図る
 PTA、子ども会、スポーツ少年団、ボーイスカウト、ガールスカウト等の社会教育関係団体が地域の青少年健全育成に果たしている役割は大きい。

 ところで、団体の中には役員が一年で交代する場合があり、会の精神が十分に理解されないままに、前年度活動の踏襲という変化のない活動の行われていることがある。また、逆に、長く続けて役員に就いていると活動に新鮮味がなくなり、陳腐化、形骸化して本来の目的が果たされているとは言えない状況が見られる。

 そこで、団体等のリーダーや育成指導者、行政担当者が常に役員自らの研修を一層深めることは言うまでもない。さらに、指導者は、学校教育への理解を深めて学校との協力関係、教師との信頼関係を築くとともに、教師も団体の活動を理解して自らの資質を向上させていく必要がある。

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